記事一覧

「これは6万円の時計よ」

帰宅したボーイフレンドがそれをひと目見て、「君は高い時計しかつけないんじゃないかと思ってた」と言った。

「これは6万円の時計よ」と私は腹が立って言った。「中古だから少し安いけど、高い時計よ。ウブロなのよ」

ウブロ ビッグバン トゥッティフルッティ 346.CD.1800.LR.1905

ダイアル、ケースなど、あらゆるパーツにセラミックを用いた「ビッグバン キャビア」。

こちらはそのトゥッティフルッティモデルです。バゲットカットのダイアモンドをイメージしたデザインは個性的そのもの。ダイヤルとケースに放射状にセッティングされたセラミックが光を反射し、高級感を演出しています。PVD加工を施されたホワイトゴールドベゼルの黒に、ビビッドなアメシストの色合いが強烈な印象の一本です。カテゴリーウブロ ビッグバン(N品)型番346.CD.1800.LR.1905機械自動巻き材質名セラミック・ホワイトゴールドPVD加工宝石アメシストタイプユニセックス文字盤色ブラック文字盤材質セラミック外装特徴シースルーバックケースサイズ41.0mm機能デイト表示付属品内・外箱ギャランティー

「ニューブロー? じゃ、オールドブローは?」

「ウ、ブ、ロ 」と言ってやった。スペルも言った。 ウブロはパテックやロレックスのような堅苦しくて比較的似かよったブランドに対する解毒剤として、1980年にスタートした時計会社であることを説明した。そして、Jay-Zが自らラップで表現した腕時計で、セラミック、ゴールド、シルバー、ラバー、レザーといったさまざまな素材と目に見えるビスが特徴だと続けた。この時計では鮮やかな宝石とピンクのリザードも特徴だ。

「ピンクのトカゲ!」 彼は鼻で笑った。「そりゃ驚きだ」。

そんな反応が一般的なようだ。詳しく説明することもできるが、要するに、この時計は私がノードストローム・ラックで手に入れたちょっとした衝動買いだと思われているようだ。

このような侮辱を受けたが、時計が嫌いになるどころか、より好きになった。そして、このトゥッティ フルッティに対する私の熱意は単に反抗心からだけではなかった。手首にはめたときの重さ、クラスプの男性的な堅さ、ピンクのストラップがフィレステーキのように厚みがあってボリュームがありながら、ストロベリーショートケーキのように甘くて鮮やかなのが気に入ったからだ。

この時計を過小評価したり、馬鹿にしたりする人は、この時計と暮らすことの楽しさを知らないのだ。ドレスアップしていても、ただ着飾っているだけでも、あるいは無精者のように寝転がっていても、この時計はいつも動いてくれた。スポーティさを演出するのか、それともラグジュアリーさを演出するのか、直感的にわかっているような気がした。これはウブロに限ったことではないだろうが、私は自動巻きの時計を持つことが大好きで、もう二度とそれ以外を受け入れることはないと思う。

「うわー変なの。そんなのつけて妙な気分にならない? レディ・ガガのオレオの宣伝用時計みたい 」などと聞けば聞くほど、“豚に真珠”という言葉が頭をよぎった。もし私がロレックスを持っていたら、私を含め、誰もがそれを好きになる。でも、この時計をむしろ自分で愛したからこそ、その関係はより甘く、より切実なものになった。

「まるで、ルーシーを想うのと同じように時計を想っているみたいだね」と、私のボーイフレンドが言った。

この時計は、時計自身と私の時計への愛情が安心して感じられる場所に行く必要があった。幸いなことに、私はサンフランシスコのウブロストアから2時間ほどのところに住んでいる。

店に入ると、約1年前、初めて高級時計に挑戦したときのことを思い出した。パールグレーのカーペットはそのままで、時計も大きく輝いていて、アグレッシブなくらいメタリックで、勢いのあるラグジュアリーさも変わらなかった。でも、私の態度は変化していた。当時、私はウブロの時計をまったく理解しておらず、ばかばかしく自己顕示欲を示す存在だと思っていた。今もそう思っているが、今ではその点が気に入っているのだ。


【関連記事】:http://rung-hyang.jp/bt/diary.cgi