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“俺は黒人の女性をいつもきれいだと思う” 「ヨウジヤマモト」がアフリカの民族衣装へのオマージュ

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「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」の招待状となったLPレコードのレコード袋には“LOVE SONG”の文字。ショーの後にデザイナーの山本耀司へ「誰へのラブソングか」と尋ねると、「俺が作るのだから、女性たちに向けてに決まっているだろう」といつもの山本節が返ってきた。
山本の女性たちへの愛情の示し方は、寄り添い守るというよりも、“ひとりで歩け”と言わんばかりに突き放した態度だ。今回もモデルから連想するのは自分の足で立ち、歩く大人の女性だ。ほぼスカートに見える股下がとても長いサルエルパンツにロングの肩を少し落とした細身のジャケット。ファスナーを開けてスリットのような効果を出したロングスカート。バッグは持たずに、ポケットに手を突っ込み、路上を歩くようにランウエイを歩く姿は色っぽい。
“ストリート”が全盛の現在でも、「ヨウジヤマモト」のウィメンズのショーには、Tシャツやパーカ、ジョギングパンツといったアイテムはほとんど出てこない。しかし、“ストリート”をそれらのカジュアルアイテムの代名詞ではなく、“何にも束縛されない自由なスタイル”そして“路上が似合う服”と定義するなら、「ヨウジヤマモト」の服はまさに大人の女性のストリート服だろう。
中盤シーンが変わっての、色が登場したシリーズはアーティスト・朝倉優佳とのコラボレーションによるもの。  
最も印象的だったのは、最後のシーンだ。アフリカの民族衣装から着想を得たというラップスカートとカットソーを着た、肌が黒いモデルが5人登場した。頭にターバンのように布を巻き、足元は素足に草履。その理由を尋ねると山本はアフリカに住む黒人の美しさに魅了されたからだと説明した。「オリンピックの陸上競技などそれらの国の女性たちが走る姿を、いつもきれいだと思う。俺は人類の中でも黒人がきれいだと思うから今回はそれがやりたかった」という。振り返ればショーの冒頭を飾ったのも同じモデルたち。今シーズンの“LOVE SONG”は主に彼女たちに向けてのものだったようだ。